マーガリンは身体に良くない、魚にはDHAが含まれているから食べる方がいい、オメガと書かれた脂肪は摂るべき……など巷で脂質に関するさまざまな情報を聞いたことがあるのではないでしょうか。
食事から摂った脂質は体内で脂肪酸に分解されますが、身体にとって良い不飽和脂肪酸と摂り過ぎることで悪影響を及ぼす飽和脂肪酸の2つに分かれます。
脂質をコントロールするものはダイエットを制す!そして健康を制すといっても過言ではありません。
今回は脂質が分解された飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸について詳しく見ていきます。
***
油と脂の違いを説明できますか?
“あぶら”の漢字は“油”と“脂”の2種類ありますが、きちんと理由を知って使い分けていますか?
こっちかな?と雰囲気で選んでいる人もいるようですが、広辞苑にも説明があるように違いがあるので見ていきましょう。
- 常温で固まらず液体の状態
- 英語・・・oil
- 例:植物性の油や魚油・・・オリーブ油・DHA・EPAなど
- 不飽和脂肪酸に分類され、動脈硬化を抑制して血液をサラサラにする役割をもつ
- 常温で固体の状態
- 英語・・・動物の脂はfat/豚脂はlard/
- 例:肉・ラード・バター・マーガリン
- 飽和脂肪酸に分類され、脂質を摂り過ぎると健康に良くないと言われる原因となる
脂と油の分類を表でまとめましたので、1つずつ見ていきましょう。
***
飽和脂肪酸は摂りすぎ注意
飽和脂肪酸はラードやバター・マーガリンなど常温で固まっている脂です。
主に動物の体内に含まれているので、飽和脂肪酸=動物性脂肪と考えて問題ありません。
身体に悪影響になると言われている理由は、飽和脂肪酸が多すぎると血管内にとどまってしまう動脈硬化や、血管がつまる心筋梗塞・脳梗塞など命に危険が及ぶ可能性が高くなるから。
長年魚を中心とした和食だった日本人ですが、ここ数十年で食の欧米化が進んだことにより、飽和脂肪酸過剰になっている人が急増中。あなたはどうですか?意外とたくさん摂っているかも…?
***
不飽和脂肪酸は3つある
不飽和脂肪酸は、植物性の油や魚油など常温で液体状態の油です。
構造上の違いにより一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸の2つに分けられます。
一価不飽和脂肪酸
オレイン酸やトレイン酸は一価不飽和脂肪酸であり、オメガ9系脂肪酸とも呼ばれます。
役割は血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を下げること。
多く含まれているのはオリーブ油や菜種油。
多価不飽和脂肪酸
多価不飽和脂肪酸は更にオメガ3系脂肪酸(n-3系)とオメガ6系脂肪酸(n-6系)に分類されます。
オメガ3系脂肪酸(n-3系)は、亜麻仁油やシソ油に多く含まれるα-リノレン酸のことで、体内で分解されるとエイコサペンタエン酸(EPA)になった後に、ドコサヘキサエン酸(DHA)と変化します。
役割はアレルギー予防や血栓予防、中性脂肪の低下。
EPA・DHAは魚の油に多く含まれていますが、特にEPAはサバやイワシ、DHAはマグロやサバが多いです。
オメガ6系脂肪酸(n-6系)は、紅花油・ひまわり油・コーン油などに多く含まれるリノール酸・アラキドン酸(ARA・Arachidonic acid)のことです。
リノール酸には血圧や免疫を調整する役割があり、多く含む食材はレバーや卵。アラキドン酸は血液中の総コレステロールを低下する役割がありますが、過剰に摂りすぎると高血圧やアレルギーの原因に。
***
食べて摂る必須脂肪酸
最後によく耳にする必須脂肪酸について見ていきましょう。
必須脂肪酸はα-リノレン酸・リノール酸・アラキドン酸の3つを指し、体内で合成できないため食事から摂取する必要があります。
おや?3つとも聞き覚えがあるなぁと思ったあなた、大正解!さっき不飽和脂肪酸で登場しました。
- α-リノレン酸(n-3系)・・・えごま油・しそ油・マグロ・イワシ・サバなどの魚(分解されてできたEPA・DHA)
- リノール酸・アラキドン酸(n-6系)・・・紅花油・ひまわり油・コーン油・ゴマ油・レバーなど
***
まとめ
今回は脂と油の違いから、飽和脂肪酸・不飽和脂肪酸について1つずつ見てきました。
常温で固まる脂と、常温で液体である油。
必須脂肪酸の3つα-リノレン酸・リノール酸・アラキドン酸は不飽和脂肪酸であり、体内で合成されないため食事からしっかり摂取しなければいけません。
ですが、必須脂肪酸ではない油を摂りすぎると、ダイエットや健康的に悪い影響が及ぶ可能性大。
魚の油は間違いありませんので、魚を食べるように意識していきましょう。